ブログ

ホーム ブログ 整形外科 PRP(多血小板血漿):再生医療開始しました!
整形外科

PRP(多血小板血漿):再生医療開始しました!

こんにちは。

クリニックでは静岡県内で3施設目となる、再生医療:PRP(多血小板血漿)治療を開始しました。

 

-PRP(Plate-Rich Plasma:多血小板血漿)治療について-

PRP療法は再生医療の一つで、自身の血液に含まれる治癒能力のある血小板を凝集させて患部に注射する治療法です。血小板に止血効果があることは皆さんが知っている通りですが、実は傷が治癒する過程にも重要な役割をもっています。この働きに着目した治療が、血小板を豊富に含む多血小板血漿(PRP:Plate-Rich Plasma)を用いた再生治療です。

現在、日本では厚生省の認可施設のみ行うことができる再生医療になります。日本では整形外科以外にも美容医療、皮膚科でも応用されています。整形外科においてPRP適応の代表的な膝疾患では変形性膝関節症や半月板損傷、靭帯損傷などがあげられます。

膝疾患以外でも肩腱板損傷、肘靭帯損傷など様々な疾患でも有効とされています。

PRP療法において重要となるのは血小板から放出される成長因子です。傷の修復、炎症の抑制といった役割を持つさまざまな成長因子の働きで、私たち自身がもっている治癒能力や組織の修復能力、再生能力を引き出すと考えられています。

 

【治療効果について】

PRP治療は、自身の血液から作成したものを用いて治癒能力を引き出す治療法です通常の鎮痛剤の内服などで症状が良くならなかった患者様でも、鎮痛効果をえるメカニズムが異なるため効果が期待できます。

よく変形性膝関節症にヒアルロン酸注射を行います。副作用は少ないですが、関節内から数日で消失します。一方でPRP治療は、1回の治療で6~12ヵ月間は効果が持続するといわれています。
(*ただし、治療効果や効果持続期間には個人差があります)

【副作用・デメリットについて】

一般的に、PRPは自身の血液からなるため、治療に際して副作用が出にくいのが特長です。膝痛に対してよく行われるヒアルロン酸注射やステロイド注射と比較すると、ヒアルロン酸注射は副作用こそ少ないですが、効果の持続性が乏しいことがあげられます。

またステロイド注射には軟骨代謝抑制による軟骨破壊といった副作用、免疫抑制による感染リスクなどがあります。一方、PRP治療では、注射後の反応性疼痛・腫脹・熱感は起こりえますが、副作用は他剤と比較して少ないといえます。反応性疼痛・腫脹・熱感は、細胞を活性化させる成長因子の働きで起きる炎症によるものです。注射した部位に成長因子が影響し、作用している証拠とも言い換えることができます。痛みの続く期間としては約1週間程度が多いとされています。

PRPは自身の血液から作成されるもので、患者ごとに効果や効果持続期間も異なります。

そのため疾患や効果によっては数回注射が必要な場合もあります。

 

【PRP治療までの流れ】

PRPは予約制になります。希望される方は一度外来受診が必要です。

PRP適応と判断された場合、医師からの説明をうけ、同意書が必要になります。

PRP施行にあたっては、採血が約30ml必要になります。遠心分離機を用いて採取した血液からPRPを作成します。当院ではPRPを確実に患部に注射するために超音波ガイド下で注射を施行しています。所要時間は採血から40分から1時間程度です。

PRP治療にあたって留意点などがありますので、外来にて説明します。

 

【PRP治療の費用】

現段階ではPRP治療は保険外診療(自由診療)となります。そのため、PRP治療においては、その日に保険診療での処方や検査・診察は施行できません。費用に関しては各施設によって異なります。

 

*PRP希望の方は必ず一度受診して頂き、適応含めて説明・同意を得たあとに、PRP施行日を予約します。受診当日には施行できませんのでご注意ください。

遠心分離機
PRPキットを用いて作成したPRP