五十肩・肩関節拘縮(凍結肩)
50歳前後で生じる肩や腕の痛みは五十肩と総称されます。五十肩には肩の動きが制限される凍結肩だけでなく、腱板断裂や石灰性腱炎、変形性関節症など多くの疾患が含まれています。エコー検査やMRI検査を活用して外来で見極めたうえで、凍結肩患者に対して、リハビリ加療を第一に選択しますが、強い拘縮を伴った場合は外来での非観血的関節受動術(サイレント・マニピュレーション)または関節鏡下関節授動術のどちらかを選択します。
外来診療で治すサイレント・マニピュレーションは頸椎神経ブロックをエコー下で行います。肩関節の動きを支配している頸椎(C5、C6)神経根周囲に麻酔薬を注入(神経ブロック)し、上肢の感覚をなくした状態で肩関節を動かしていきます。それにより可動域制限の主原因である硬くなった関節包を徒手的に破断させ、拘縮を改善する治療法です。治療後は腕が上がらないため三角巾固定で帰宅します。翌日からリハビリ加療を始めます。一方、手術加療として全身麻酔下で関節鏡を用いて直接、主原因である関節包を解離する方法もあります。いずれにしても可動域を改善するにはその後のリハビリ加療が最も重要となります。
サイレント・マニピュレーション前後:肩関節挙上の改善



