半月板断裂
半月板は大腿骨と脛骨の間にある組織で、膝の安定性に寄与する重要なものです。スポーツでは外傷により生じるものが多く、様々な断裂様式を呈します。断裂部位や程度によっては治癒しやすい場合もあり、その際は保存加療で対応します。
一方、症状改善が乏しい場合や断裂形態によっては手術加療(半月板切除・縫合術)が必要になります。若年層に半月板切除を安易に行うと、半月板が有する荷重分散機能や安定性の低下をきたすため、将来的に軟骨損傷を引き起こすリスクが高まります。10年後の単純X線像で半月板切除を行うと関節症性変化が約3割に認めたとの報告もあります。そのため若年層では基本的に半月板温存を行うことが重要です。しかし断裂形態によっては縫合術を行っても治癒しにくい場合もあります。
当院ではできるだけ治癒しやすいように、従来は切除術で対応されていた治癒しにくい断裂形態の症例(フラップ状断裂、水平断裂)に対して、フィブリンクロットを断裂部位に挿入して縫合術を行います。
フィブリンクロットとは、簡単に言うと断裂した半月板同士の接着因子として作用し半月板治癒に役立ちます。これは採血により患者様自身の血液から手術中に作成します。ただしフィブリンクロットを用いても治癒が難しい場合があります。それは加齢により半月板自体が傷んでいる場合です。当院では年齢やスポーツ早期復帰希望の有無、断裂形態、断裂部位において半月板縫合術適応を判断します。
入院期間は数日-1週間で対応可能です。
