疾患コラム

ホーム 疾患コラム 肘関節疾患 内側型・外側型野球肘

内側型・外側型野球肘

投球動作による肘の傷害を総称して野球肘といいます。骨・軟骨だけでなく靱帯や筋腱付着部の損傷も含まれます。また部位により内側型と外側型に分類されます。

●内側型野球肘
内側靱帯・筋腱付着部の傷害が主体で長期的な経過は比較的良好です。
●外側型野球肘
離断性骨軟骨炎が中心となります。離断性骨軟骨炎(OCD)は投球動作による外力の繰り返しの損傷によって骨軟骨がはがれてきます。

外側型野球肘は内側型に比べて頻度は少ないですが、長期間(半年から1年程度かかる場合もあります)の投球動作禁止を強いられることになります。

当院の治療法

離断性骨軟骨炎の初期では投球禁止することで自然治癒が促されることがあります。しかし、痛みが引いてきて主治医より許可が出ないうちに早期復帰して投球動作を繰り返すと、骨軟骨の病巣部位が剥がれて遊離体となります。
遊離したことで生じた骨軟骨の欠損は、治癒せずに通常より早い段階で肘関節に疼痛・可動域制限をきたします。そのため、出来るだけ早い段階で早期診断を行い、病期に応じた適切な治療と復帰までのフォローを行う必要があります。クリニックでは単純X線だけでなく超音波検査やMRIも完備しているため早期診断が可能です。
診断によりどの病期にあてはまり、それに沿った治療方法を選択すべきか判断することが重要です。

クリニックでは進行期まで進行していなければ、まず投球禁止を勧めています。野球への参加が制限されるため、本人やご家族にとってもかなり辛い期間が必要となります。
また指導者の理解も重要となります。主治医・リハビリ・選手・家族そして指導者の共通理解が確実な復帰に最も重要となります。

6-8ヶ月の投球禁止でも治癒しない場合(保存加療無効例)、病期により患者・家族含めて手術適応があると判断段した場合に手術加療を勧めます。
骨軟骨片の状態をMRI検査などで判断し、関節鏡の手術所見で最終判断し、その骨軟骨片の状態(病期)に応じて骨穿孔術(ドリリング)、吸収ピン固定術または骨釘固定術、骨軟骨柱移植のなかから手術方法を選択します。

上腕骨離断性骨軟骨炎(OCD):治療経過例(関節鏡下骨軟骨固定(吸収ピン使用))

術前単純X線像
術前CT像
術後CT像(術後1か月): 関節鏡下で吸収ピンにより病変部を固定
術後MRI(術後8か月):骨軟骨の安定化を認める
術前単純X線像
術前CT像
術後CT像(術後1か月): 関節鏡下で吸収ピンにより病変部を固定
術後MRI(術後8か月):骨軟骨の安定化を認める

肘関節内遊離体:治療経過例(関節鏡下遊離体摘出術)

術前3D-CT:大きな遊離体を認める
関節鏡にて遊離体を確認
遊離体を把持
遊離体摘出後
術前3D-CT:大きな遊離体を認める
関節鏡にて遊離体を確認
遊離体を把持
遊離体摘出後