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半月板温存手術-セントラリゼーション法-

今回は膝半月板温存手術の中でもセントラリゼーション法といった術式を説明します。

「膝の軟骨が傷んでいます」:こんなことを言われた方は多いと思います。

軟骨が傷むまでには過程があり、まずは半月板が傷むことから始まります。

半月板が傷む(損傷される)ことで、半月板自体が破綻してくると、軟骨のクッション材として機能している半月板が本来の位置にとどまれなくなってきます。つまり逸脱します。この状態を“逸脱半月板”と言います。

この状態で負荷が繰り返されると、軟骨同士が繰り返し擦れることで軟骨損傷➤軟骨欠損➤変形性膝関節症へと進行します。

つまり逸脱半月板は変形性膝関節症の初期段階であることがわかります。

今回紹介するセントラリゼーションは逸脱した半月板を元の位置へ戻す術式です。

半月板からすると膝の中央に戻ること、つまり内方化するのでセントラリゼーションと呼ばれます。

脛骨(すね)の骨に縫合糸のついたアンカーを打ち込み、縫合糸を逸脱した半月板にかけて引き寄せる方法です。

スライドで示した患者さんを参考にしてもらうと、半月板が軟骨の間に戻り安定していることがわかります。

手術の流れを以下に添付しました(実際には2本のアンカーを挿入しています。1㎝程度の小さな傷が3つで出来る手術です)。

この術式は外側半月板で安定した成績が報告されています。一方、内側半月板が逸脱した場合は骨切り術など併用することもあります(もちろん半月板手術のみで対応する場合もあります)。

当院では年齢や変形の程度、半月板の状態など含めて総合的に治療選択肢を提示して方針を決めるようにしています。

他院で半月板切除しかないと言われたが何とか温存したい・・などお困りのことがありましたら是非受診してみてください。