当院での膝半月板手術の報告:可能な限り温存を!約83%が半月板温存術!
こんにちは。
今年1年間の手術成績をまとめていると、クリニックでの膝半月板手術に関してあるデータがわかりました。
当院では過去のブログやHPでも半月板断裂に関しては〝可能な限り半月板温存を〟目標にしています。
しかし、一般的には半月板癒合が難しい/困難であると思われるフラップ状断裂や複合断裂(複雑な断裂)・水平断裂に対しては半月板切除術を選択されることもまだまだ多い状況です。
クリニックの今年1年の手術実績の中で膝関節鏡手術における半月板関連(半月板断裂・損傷)の手術は42件ありました。そのうち半月板縫合術の割合は約83%でした。クリニックでは半月板を温存するために、通常癒合しにくい断裂に対しても、患者さんの血液から作成する接着因子を有したフィブリンクロットを断裂部に挿入したうえで縫合を行い半月板を温存しています。ほかにも逸脱した半月板を戻す手術を併用する場合もあります。
半月板は部分切除と言えど、切除部位や範囲によっては半月板の機能低下が生じてしまい、軟骨損傷へと進行するリスクがあります。
クリニックのデータ(2021年手術)では年齢や半月板の傷んでいる状況からやむを得ず最小限の部分切除を行った患者さんが約17%いたことも事実です。そのため、今後も早期診断をこころがけ、また更なる手術技術の向上を目標に〝可能な限り半月板温存を〟掲げていきたいと思います。最近では遠方からも半月板温存を希望され受診される方も多くなってきました。
「錦野クリニックなら半月板を温存してくれる」。そんな信頼を得られるように頑張っていきたいと思います。
(文責:整形外科 錦野匠一)
*代表例としてフラップ状断裂をきたした50代の患者さんの関節鏡所見を下記に示します。
この症例はフィブリンクロット併用して半月板温存したものです。